霊芝とは
霊芝はマンネンタケ科(担子菌類/キノコ類は全て菌の一種)に属するキノコの中国名です。乾燥した霊芝は腐ることが無いことから、和名は「マンネンタケ(万年茸)」と言います。
自然の環境では生育しにくいため、人工栽培の方法が確立されるまでは、非常に希少性の高いキノコでした。私たちが一般的にイメージするキノコと違い、霊芝は全体がコルクのような質感をしているため、そのままでは食用に適しません。
天然霊芝と人工栽培霊芝
一般的に、食品などでは「天然」「自然」などという言葉がついていると良いイメージを持たれがちですが、霊芝に限っては必ずしも当てはまりません。
シメジやエノキダケなどのように群生して生えるわけではなく、胞子が発芽しにくいこと、ナラやクヌギといった特定の木の古木にしか生育しないこと、などから霊芝が自然に発見される確率は、ナラやクヌギの10万本に2~3本と言われています。
その上、天然の霊芝は、<雨風に晒されて有効成分が逃げてしまう><青カビが生えてしまう><収穫時期が難しい>などと言われているため、食用には人工栽培されたものが安心と言われています。
霊芝の栽培地域
北は北海道から、南は九州まで、霊芝の栽培は広く行われています。日本における霊芝の半分以上を生産しているのが中部地方(長野、岐阜、富山、静岡、新潟、等)で、中でも長野県は全国トップの霊芝栽培県です。冬と夏の寒暖差が大きい気候が、霊芝栽培に適しているとも言われています。中部地方に続いて生産量が多いのが近畿地方(三重、奈良、和歌山、大阪、京都、等)で、特に紀州梅で有名な和歌山県は、梅の木を使った霊芝を「古梅霊芝」と呼んでブランド化しています。
今のところ、栽培されたエリアによる成分的な品質の違いは確認されていないようです。
よい霊芝とは
霊芝製品を製造するにあたって、その製造方法はもちろんですが、製造に用いる原料の良し悪しが、完成品のできを大きく左右します。では、良い霊芝原料とは、いったいどのような霊芝なのでしょうか?
一般的に良い品質と言われる霊芝は、「傘が大きくて肉が厚く、柄が太く、色艶が良いもの」と表現されますが、見た目の良さがはたして本当に品質の良さにつながるのかは確かでありませんでした。
そこで1985年~1986年にかけて、和漢医薬学会学術総会や日本薬学会において、「同じ抽出方法を行う限りは、上記のような古典的評価方法が比較的正しい」というような報告がなされています。また、「産地・菌種の違いによる著しい成分差異は見られず、オガクズ栽培よりも原木栽培の方が有効成分を多く含む」「栽培条件だけでなく、収穫時期(タイミング)も重要である」という報告も同時に行われています。
霊芝成分の抽出方法
霊芝には、認められているだけで200種類以上の有効成分があり、構造式まで分かっているものだけでも20種類以上の有効成分が含まれています。しかし、霊芝自体は繊維質のため、そのまま体に入れても、それらの有効成分を吸収するのは難しいと考えられます。
そこで、加工方法として採用されているのが、有効成分を抽出して利用する、というものです。一般的には水(熱水)を用いた抽出方法が採用されますが、近年、アルコールを使った抽出方法によって、水では出てこなかった成分も抽出できるとされ、両方のやり方が採用されるケースもあります。
各メーカーによってその抽出方法は違うはずなので、ここでは細かいプロセスまでは割愛させていただきますが、温度や時間、回数などによって、なるべくたくさんの成分を抽出できるように、長年研究がなされてきました。
抽出したエキスをそのまま原液としてドリンクなどに利用する場合もありますし、スプレードライ乾燥などで粉末エキス化してから加工する場合もあります。また、この方法以外にも、昨今は、細胞壁破砕方法や、冷凍粉砕方法など、様々な方法が試されているようです。